気になるので、今夜は仕事ぶっとばして「仙石亭」のレポートを書いてしまいます。
正直、「草庵」「漣」「オー・ミラドー」と
箱根のオーベルジュはどれもこれもレベルが高いじゃないですか。
なので「仙石亭」にもある程度のイメージを抱いていました。
そのせいかもしれませんが
到着早々、驚きのがっかり体験続々・・・
でも、最終的には今回、私たちはとてもハッピーな滞在を楽しむことができました。
その理由をこれから書きます。
宿泊した日は天気が悪くすごい濃霧。
小田原からバスで行く予定でしたが、バス乗り場に行くと係員の方が
「湯本まですごく渋滞していて、15分で着くところが1時間以上かかっている。
湯本まで電車で行ったほうが早い」
と教えてくれたんです。
なので湯本からバスに乗ったのですが、そんなこんなで
チェックインできたのは4時半近くでした。
↑露天風呂付き部屋新築でお祝いのお花がいっぱい
がっかり1
ウエルカムドリンクもお着き菓子もない。
この価格帯でウエルカムドリンクがないのは、しょうがない。
でも最低料金が1万円台の「草庵」も「漣」も、自家製の心のこもったおいしい焼き菓子が部屋に用意されてあったのに。
がっかりその2
部屋に案内されたら、掃除ができてなくて部屋の前で待たされた。
しばらくしてから、すごくあせって掃除を終えたらしい若い男性スタッフが
掃除道具を持ってでてきた。
いっときますが、着いたの4時半過ぎです。
がっかり その3
部屋の説明いっさいなし。
若いスタッフの男の子が、私たちを部屋に入れたらそれで帰ろうとするので
「冷蔵庫どこ?
」
とすがるように聞いた。そしたら教えてくれた。
その後、すぐ帰ってしまったのでゆかたの場所とタオルやガウンの場所を探し回った。
がっかり その4
送った本入り段ボールが放置されていた。
宿泊予定日と名前を書いて送ったのです。
今まで100%、言わなくても部屋に入れていてくれてたのですが
「ダンボール送ってあるんですが」
と聞いたら
「は?」
「着いてるはずです。宅急便会社からメール来てますから」
あわててフロントにかけもどり、しばらくしてから
「ありました!」
と持ってきてくれた。
がっかりその5
素敵なアメニティ
と思ったらボディシャンプー2個とコンディショナー1個
どう考えてもボディシャンプーとシャンプー間違えて置いてってる。
なのでフロントに電話して持ってきてもらいました。
なんか、荷物を解く前にもうがっかりの連続でぜえぜえですわ。。。
このへんで、もうここは、「漣」とか「草庵」とか「オー・ミラドー」とは違うカテゴリーのオーベルジュだと覚悟を決めたわけですわ・・・
なんかね、案内の男の子がまだ子供。
ちょっと指摘するとあわあわして、すみませんすみませんって謝るんですが
まだお座敷に出しちゃいけないレベルの素人さん
って感じかな・・・
その夜、「仙石亭」で検索して宿泊客のクチコミをチェックしたら
「従業員があわてんぼさんだと思います」
というのがあって、つぼに入って受けました・・・
でもそこからV字で、
いいとこがぐいぐい見つかったんですよ!
まず部屋のつくり。
HPを見て、本棚とダイニングテーブルがある部屋を選んだのですが
これが大正解!
ダンナが嬉々として本を並べ、ノートPCをセット。
無線ランもあって

あっという間に、書斎状態に。
滞在中、昼寝以外はほぼここにいました。
私のコーナー。
棚の反対側がベッドになっていて、テーブルで読みかけの本を棚に置いて
そのままベッドで読める。
いちいち持ち歩かなくていいんです。
「これいいね」
「もし自由設計で家を建てたらこういうふうに、ダイニングとリビングのソファの間に通り抜けの本棚作りたいね」
と大盛り上がり。
また新しくつくったお風呂も明るくていい感じ。
あいにくの天気だったのですが、テラスも素敵で居心地よさそう。
「夏に来たいね」
と早くもさっきのことを忘れている、鳥頭夫婦。
6時半から部屋でご飯なので、大浴場に行くことに。
●女子浴場
いつ行っても私一人でした。
そんなに大きくないけど、すごく落ち着く空間。
気に入りました。
壁一枚で男風呂なため、ダンナがあがる音が聞こえ、ちょうどいいタイミングで待ち合わせできました(鍵1個だったんで)
後でダンナが目撃したところによると、家族連れが壁越しに会話してたそうです。
ただし後でこの写真を見せたら、
「広い!」
と絶句。
男風呂はこの3分の2くらいだそうです。
「雰囲気はともかく狭いわ・・」
そして、貸切の展望風呂。
急な階段を上っていくと
「箱根吟遊」の部屋風呂みたいな展望。
湯船もかなりひろくて、気持ちいいです!
このときはあいにくの天気だったけど、晴れた日は気持ちよさそう・・
・・・・と思ったら
がっかりその6
浴槽の床が、いまだかつて体験したことのないぬるぬる!
ほんとにすべってすべって、じっとしていられないくらいなんですよ!!!
これ、泉質のせい?
でも箱根のほかの温泉でこんなぬるぬるの床、見たことないんですが・・・
そんなわけで1回しか入らず・・・
でもクチコミでもそんなの誰も書いてないし、この展望風呂のファンの方も多いみたいだし、やっぱりたまたまだったのかしら・・・
やっぱり最近になって掃除がいいかげんになったのかなあ・・・
(露天風呂付の部屋が増えたりして)
●晩御飯
部屋で待っていると、30分くらい前にスタッフが来てテーブルをセッティングしてくれた。
これがかなりちゃんとしたセッティングで、
しかもそのスタッフ(片ピアスなので、私たちは「片ピー」と呼んでいた。ドリカムの薬でつかまって脱退した人にそっくり)
が本当に誠実でデリカシーがあって
惚れ惚れするサービス
で
ここで初めて、プロのサービススタッフにあたった感じ。
余計なことは言わないけど、何を頼んでも一生懸命やってくれる。
シャンパンを頼んだ時
「あ、急がなくていいよ、
シャンパン来るまでお皿に手をつけないで待ってるけど
急がなくていいから」
と言ったら大笑いして、あっという間に持ってきてくれたり。
食事の終わりの頃にはほんのりと仲良くなって
「変なことをお聞きしますが、この本、全部読まれるんですか?
」
って真顔で聞かれたり・・・
片ピーのおかげで、この宿の好感度がぐっとあがったんですわ。

朝食も片ピーがサービスしてくれ、気分はいいし
すっぴんでパジャマのまま食べられてとても幸せ
。
ところが・・・
8時に朝食を食べはじめ、30分ほどで食べ終わったのですが
片付けに来てくれたのが12時近く・・・
その間ずっと、食べ残しが放置されたテーブルを目の前にしてなくてはならず・・・
がっかりその7
ですわ・・・・。
その間ダイニングテーブルは使えないし
いつ片付けにくるかわからないからおちおちお風呂に入っていられないし
でもダンナは
「片ピーはちゃんと、「タオル交換の時に片付ける」って言っていったじゃないか」「気にしなければいい」
※注
二連泊なので掃除は不要、タオル交換のみお願いした。
ちなみに掃除をしてもらう場合、2~3時間外に出てもらう必要があるともいわれました。だいたい30分くらいロビーで待たされておしまいなんだけど、そこも???
がっかりその8
外で掃除の音がするのはしょうがないとしても
確認もしないでいきなりドアをあけて掃除の人が入ってきちゃってびっくり。
これにはダンナも呆れて
「サイテー
」
と吐き捨てるようにつぶやいていた。
です。
しかも部屋付き露天風呂がつくりたてのせいか
午後から、
なんか急に部屋のお風呂の湯温が熱くなり
熱いのが好みの私も
「あちちちちち」
って一瞬しか入っていられないほど。。
たまりかねてフロントに電話して、
「夜、ダイニングルームにいる間に調節して」
と頼んだところ、すぐに片ピーが来て温度をはかり
「かなり熱めだよね」
と私が聞くと、ショックを受けた表情で
「も の す ご く 熱 い で す
」
とつぶやいて立ち去る片ピー。
そのショックを受けているたたずまいがなんか受けてしまい、爆笑の私たち。
なんか同じ体験しても、心温まる思い出になっているのは、
誠実すぎるくらい誠実でいっしょうけんめいお世話してくれた
片ピー
の存在が大きかったと思います・・
その後、ほかのスタッフも来て湯温調整をしてくれましたが、うまくいかなかったらしく
「62℃の源泉を、加水しないで冷まして入れているんですが、その調整がうまくいっていない」
とのこと。「晩御飯の間に再度、やってみるのでもう少々待ってください」と言われ
よくよく考えると、どんなにいい泉質だろうが入れなかったら意味ないんだけど
それでもまあ「一生懸命やってくれてるなー
」
「部屋付露天風呂つくって1習慣もたっていないからしょうがないか
」
というおおらかな気持ちでいれたのは、ひとつには
部屋のお風呂の泉質がとにかく素晴らしかったこと!
お風呂から出てしばらくすると、体の内側からぽわーーっとあったかくなってきて
それがすごくリラックスできて気持ちがいいんです!
温泉でこういう感覚になったのって初めてかも・・・
これは大浴場でも展望風呂でも感じられなくて、部屋のお風呂のときだけだったのでやっぱり成分が濃いのでは、と思いました。
これが加水しない掛け流しならではの効能だったら、しょうがないか、と思ったのがひとつ。
ひとつは、お風呂に入れないので読書に集中できて
二日目のまるいちにちかけて読んだこの本(上下二巻)がものすごくおもしろくて
お風呂に入れないことなんか忘れるくらいだったんです。
ラッキーだったんですね。
もし担当が片ピーじゃなく、
持って行った本がおもしろくなかったら
かなり印象が違っていたと思います。
夜はダイニングルームで、下から光があたるカウンター席。

でもこれ、写真でわかるとおり、食べ物がぜんぜんおいしそうに見えないんです。
せっかくきれいにもりけているのにもったいない・・・
そしてここのご飯、2回とも私はデザートがダメでした。
パンも、運ばれてきた一瞬だけ暖かくてあとすぐに冷めちゃうの。
最後の最後まで、触れないくらい熱々だった「漣」のパンと比べるとやはり・・・
がっかりその9
ディナーの後、翌日の朝食の時間を誰も教えてくれなかったので、こっちから聞いた。
ちなみに晩御飯の時間も教えてくれなかったので、こっちから電話して聞いた。
がっかりその10
にもかかわらず、部屋に入ってから
「朝食は何時にしますか?」
とフロントから電話が。
あんたらの連絡網、どうなっとんねん!
でも晩御飯の帰り道
「片ピー、いなかったね」「やっと交代で家に帰れたんだね」(←もう身内のような気持ち)
と話しながら歩いていると、廊下でせっせと配膳している彼の姿が!
私たちを見つけると、例の思いつめた心配そうな目で
「晩御飯は、おくちにあいましたか?」
と聞いてくるので
「そんなことより、ゆうべからずーーといるけど
あんた、大丈夫?」
とつい聞いてしまい、後ろの同僚らしきスタッフが大爆笑してました。
ちなみにがっかりその11
眠るときに枕もとの棚の本を出そうとしたら
白いほこりがうっすら・・・・
ほんとに見えるところしかふいてないことが判明。
ちなみにベッドわきのスタンド台もほこりまみれで
エレベーター内の袋にもほこりが入っていたし・・・
(ああこんなのわざわざ撮影しちゃう私って性格悪い・・・)
洗面台のステンレスの栓もくもっていて、私が自分で歯磨き粉で磨いてピカピカにした。
っていうのも私、三水館の窓ガラスの美しさに感動して、家に帰ってから窓ガラスふきにはまったんですわ・・・
掃除って、宿の心意気だよなー
ってその時つくづく思ったんですが・・・。
がっかりその12
なんかインテリアが雑というか・・・
ロビーの窓に排気用のハンドルが堂々と出てたり・・・
(ダンナが「普通はあのハンドルを取り外して収納して、使う時だけセットするものなんだけど」)
たぶん、前は保養所かなんかだったんだと思います。
というのはこういう
和風テイストのを無理やり使っているからです。
レンガと和紙テイストの照明って・・・
ロビーも、なんかくつろげない。
ソファとかあればちょっとあればいいのに。
あ、最後の最後に片ピーの胸の名札を見て名前がわかりました。
ダンナに「片ピー、山本さんっていう名前だったんだね
」
ダンナ「僕も気がついてた
」
そして最後、タクシーに乗り込む私たちを片ピー、いや山本くんがお見送り。
ほんとにほんとに心から心配そうに
「ごゆっくりお過ごしいただけましたか?」
と聞かれて
「そりゃもう!」
(いやほんとは、何度も部屋に出入りされて結構おちつかなかったけどもういいや)
それを聞いて、安心したようににっこり微笑む片ピー、いや山本くん。
タクシーの窓から後ろを振り返ると、小さくなった山本くんがいつまでいつまでも頭を下げて見送ってくれていました。
じーんときました。
夏になったらまた会いに来るから、元気でいてくれ。
でもって湯温調節システム、ちゃんとしといてくれ!
と心から祈った私たちでした。
というわけです。
かなりがっかりもしたけど、面白いといえば面白かった。
まとめ
●よかったところ
*部屋がすごく使い心地よくて、落ち着けた。
*温泉も、すごくいいお湯で幸せだった(入れた時は)
*ご飯もおいしかったし、値段も手ごろだった。
●ダメだったところ
*一部スタッフ(特に若い子)
若い個になんか「ゆるさ」がある。ちゃんと教育されてない。
それはオーナーの方の意識の問題なのかも、と思います。
*湯温が不安定でしかも調節できない
*お掃除
*やや雑なインテリアのセンス
*手抜き感が感じられるデザート
*全体的にお料理が冷め気味で出てくる。パンも一瞬しか保温されていない。
もちろん心が洗われるようなサービスをしてくれる
スタッフに担当してもらえたラッキーさのうえに立った感想ですが・・
この価格でがんばってる、と思う・・・
でも「がっかり」さんのひどいお話を聞いて
「まさか」
とは思わなかった・・・
むしろ
「さもありなん」
と一瞬で納得。
この宿のダメなところが噴出すると、そうなると思う。
誰にでもお勧めできる宿じゃない。
でもね、
この価格で
親子連れで個室露天の部屋があって
部屋でフレンチが食べられてしかもおいしくて
という宿がほかにあるかというとないと思うんです。
だから子連れ温泉難民の友達には
「突っ込みどころ満載だよ」
と釘をさしたうえでお勧めすると思います。
んんん、むずかしいですねーー
夜、雪が積もった。
↑
この本も収穫だったなーー
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